結婚後の手続きを調べると「やることリスト」はたくさん見つかりますが、どれが窓口に行かずに済むのかを書いたものは多くありません。
この記事の数値は、デジタル庁の調査に報告された令和5年4月1日〜令和6年3月31日の実績です(推定値を含みます)。現在の状況とは異なる可能性があります。
デジタル庁が公開している行政手続の調査データ(約75,000件)から、結婚・離婚に関する手続きを抜き出して数えました。結果はこうです。
- 手続主体が「国民等」とされる申請等 292件のうち、オンライン化が未実施なのは171件(58.6%)
- 婚姻届は「オンライン化 実施済」に分類されているが、令和5年度に報告されたオンライン処理は0件(491,035件すべてが窓口・郵送として計上)
出典はデジタル庁「行政手続等の悉皆調査結果」の令和6年度調査(2025年7月29日更新版)です。当サイトが2026年8月15日に取得・集計しました。 デジタル庁の調査概要には、年間件数は「原則令和5年4月1日〜令和6年3月31日の情報」であること、「自治体が窓口となっている手続等もあり、全ての手続について正確な件数を把握することが困難であることから、推定値も含まれています」と記載されています。件数はおよそ2年前のもので、推定を含みます。 同ページには「今後の精査等により修正することがあります」との注記もあります。 また国の制度としての手続きが対象で、銀行・クレジットカード・携帯電話といった民間の手続きは含まれません。データは「結婚・離婚」がひとつの区分になっているため、離婚のみに関わる手続きも含まれます。
結婚・離婚に関する手続きは517件あります
デジタル庁の調査には「手続が行われるイベント(個人)」という分類があり、そこで「結婚・離婚」に振り分けられているのが517件でした。
参考までに、他のライフイベントと比べるとこの位置づけです。
| ライフイベント | 手続き数 |
| 税金 | 2,540 |
| 死亡・相続 | 1,460 |
| 医療・健康 | 1,449 |
| 引越し | 785 |
| 就職・転職 | 754 |
| 介護 | 522 |
| 結婚・離婚 | 517 |
| 出生・こども | 509 |
| 年金の受給 | 451 |
| 住宅の購入・保有 | 343 |
出典:デジタル庁「行政手続等の悉皆調査結果」令和6年度調査(令和6年3月31日時点)を当サイトが集計
517件すべてを個人が行うわけではありません。 行政機関どうしの通知や、事業者が行うものも含まれます。
そこで「手続主体が国民等」かつ「手続類型が申請等」の行に絞ると、292件になりました(手続IDはすべて異なり、重複はありません)。以下はこの292件についての集計です。
なお「手続主体が国民等」は、本人が自分で窓口に行くことを意味しません。 勤務先や代理人を経由するものも含まれます。健康保険の届出などが典型です。
オンライン化されていないものが約6割
| オンライン化の実施状況 | 件数 | 割合 |
| 未実施 | 171 | 58.6% |
| 実施済 | 86 | 29.5% |
| その他 | 28 | 9.6% |
| 一部実施済 | 5 | 1.7% |
| 適用除外 | 2 | 0.7% |
出典:同上。割合は当サイトが算出
結婚に関わる手続きの6割近くは、いまも窓口や郵送が前提です。
行政手続き全体と比べても、特に遅れているわけではありません
デジタル庁は同じ調査で「全75,071手続の51.6%がオンライン化実施済(一部実施済含む)」と報告しています。これだけ見ると結婚関連(31.2%)は大きく劣って見えますが、母集団が違うため単純に比べられません。
51.6%は行政機関どうしの手続きや事業者向けを含む全体の数字です。そこで同じ条件(手続主体が国民等・手続類型が申請等)で絞って比べ直しました。
| 対象 | 件数 | 実施済(一部実施済含む) |
| 同条件の全手続 | 4,556 | 34.3% |
| 結婚・離婚 | 292 | 31.2% |
差は3.1ポイントで、ほぼ同水準でした。 結婚関連が特別に遅れているわけではなく、国民が自分で申請する手続き全体が、そもそも3件に1件しかオンライン化されていないというのが実態です。
★「実施済」でもオンラインで出せるとは限りません
ここがこの記事でいちばん伝えたい点です。
「オンライン化 実施済」に分類されている手続きでも、実際のオンライン利用が0件のものがあります。
デジタル庁は用語をこう定義しています。
オンライン化率 手続の種類数に対してオンライン対応している手続の割合
オンライン利用率 オンライン対応手続の中で、実際にオンラインで処理された年間件数の割合
つまり「実施済」は「オンラインで行えることになっている」という意味で、実際に使われたかどうかは別の数字です。
年間5万件を超える手続きのうち「実施済」のものを、実際の利用件数で見ました。
| 手続名 | 年間総件数 | オンライン | 窓口・郵送 |
| 戸籍の届出(婚姻) | 491,035 | 0 | 491,035 |
| 戸籍の届出(離婚) | 188,239 | 0 | 188,239 |
| 戸籍の届出(入籍) | 133,327 | 0 | 133,327 |
| 戸籍の届出(婚氏続称) | 86,041 | 0 | 86,041 |
| 届出の受理・不受理の証明書の交付請求 | 598,598 | 0 | 598,598 |
| 健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届 | 3,501,056 | 1,806,210 | 1,694,846 |
| 国民年金第3号被保険者関係届 | 485,092 | 80,302 | 404,790 |
| 国民年金被保険者資格取得届 | 2,576,646 | 63,663 | 2,512,983 |
| 自動車の変更登録 | 1,246,000 | 46,000 | 1,200,000 |
出典:同上
婚姻届はオンライン化「実施済」に分類されていますが、この調査で報告されたオンライン件数は0でした(総件数と非オンライン件数が一致)。離婚届・入籍届・婚氏続称の届出も同じです。
ただし理由はこのデータからは特定できません。 「実施済」が一部の自治体・一部の工程だけを指している可能性、対応開始が年度末だった可能性などが考えられます。
婚姻届は窓口に行く前提で予定を立ててください。 「オンライン化実施済」という分類だけを見て手続きを組み立てると、当日困る可能性があります。一方で健康保険の被扶養者届は約52%がオンラインで処理されており、こちらは勤務先の手続きに乗せられる可能性があります。
この記事の数値は令和5年4月1日〜令和6年3月31日の実績です。 現在の状況は変わっている可能性があるため、実際の可否はお住まいの自治体にご確認ください。
当サイトが確認した範囲では、年間5万件を超える「実施済」の手続き18件のうち7件で、オンライン利用が0件でした。
手数料がかかるものは3件に1件
| 手数料 | 件数 |
| 手数料なし | 198 |
| 手数料あり | 92 |
| (記載なし) | 2 |
出典:同上
292件のうち約3件に1件(92件)で手数料が発生します。ただし婚姻届そのものに手数料はかかりません。 費用が発生するのは、戸籍謄本や受理証明書といった証明書の取得です。
どこに出しに行くのか
292件の提出先を集計しました(複数記載があるものは先頭のみ)。
| 提出先 | 件数 |
| 本府省庁 | 74 |
| その他機関 | 41 |
| 市役所・町村役場 | 36 |
| (記載なし) | 33 |
| 都道府県庁 | 29 |
| 警察署 | 12 |
| 税務署 | 11 |
| 公共職業安定所(ハローワーク) | 10 |
| 年金事務所 | 9 |
出典:同上
市役所・町村役場に出すものが36件あります。 婚姻届もここです。本府省庁が74件と多く見えますが、その多くは公務員や特定の資格・許認可に関わるもので、多くの方には関係しません。
市役所に出すもので、オンライン化が未実施の主なもの
| 手続名 | 年間件数 |
| 市区町村が受理した届書類の記載事項証明書の請求 | 598,598 |
| 保護開始の申請 | 251,364 |
| 国民年金被保険者資格喪失届(申出)書 | 218,027 |
| 旧氏の住民票への記載の申出 | 31,493 |
| 市区町村が受理した届書類の閲覧請求 | 28,653 |
| 精神障害者保健福祉手帳の氏名等の変更の届出 | 22,488 |
出典:同上
このデータに含まれていないもの
ここは正直にお伝えします。 一般に「結婚後の手続き」として案内されるものの多くは、このデータの対象外です。
| 含まれるもの | 含まれないもの |
| 婚姻届、戸籍・住民票の手続き | 銀行口座の名義変更 |
| 健康保険・年金の手続き | クレジットカードの名義変更 |
| 運転免許・自動車登録 | 携帯電話の契約者名義変更 |
| 税務署への届出 | 生命保険の受取人変更 |
| 各種資格・許認可の氏名変更 | 勤務先への社内手続き |
民間の手続きは国の調査対象ではありません。 そちらは各社の案内をご確認ください。
この記事でわかるのは、国や自治体に対する手続きのうち、どれがオンラインで完結し、どれが窓口を要するかという点です。
結婚相談所で成婚した方へ
当サイトは結婚相談所の比較を主に扱っています。成婚退会のあとに続く手続きとして、関連する記事を挙げておきます。
成婚退会そのものの手続き(何日までに申し出れば当月末か、成婚料はいつ発生するかなど)は、結婚相談所の退会と結婚相談所の成婚料にまとめています。
なお、各社が定義する「成婚」は入籍ではなく婚約段階です。IBJメンバーズは「プロポーズが成功し婚約した時点」、サンマリエは「婚約・結婚の意思が固まっている状態、もしくはそれに近しい状態で退会すること」と記載しています。成婚退会から婚姻届の提出までには期間があります。
よくある質問

- 婚姻届はオンラインで出せますか。
-
デジタル庁の調査では「オンライン化 実施済」に分類されていますが、年間491,035件のうちオンラインでの提出は0件でした(令和6年度調査・令和6年3月31日時点)。調査からおよそ2年が経っているため状況が変わっている可能性はありますが、窓口に行く前提で予定を立てるほうが安全です。 実際の可否はお住まいの自治体にご確認ください。
- 結婚の手続きはいくつありますか。
-
デジタル庁の調査で「結婚・離婚」に分類される国の手続きは517件、うち国民が自分で申請するものは292件でした。ただし全員がすべてを行うわけではなく、公務員や特定の資格を持つ方だけが関係するものも多く含まれます。
- どれくらいがオンラインで済みますか。
-
292件のうちオンライン化が実施済なのは86件(29.5%)、一部実施済が5件で、未実施が171件(58.6%)でした。同じ条件で絞った全手続4,556件でも実施済は34.3%なので、結婚関連が特別に遅れているわけではありません。ただし「実施済」でも実際の利用が0件のものがあるため、分類だけでは判断できません。
- 手数料はかかりますか。
-
292件のうち手数料ありが91件、なしが196件でした。婚姻届そのものに手数料はかかりません。費用が発生するのは戸籍謄本や受理証明書などの証明書取得です。
- 銀行やクレジットカードの名義変更は含まれていますか。
-
含まれていません。デジタル庁の調査は国の制度としての手続きが対象で、民間サービスの手続きは対象外です。
- このデータはいつ時点のものですか。
-
令和6年度調査(令和6年3月31日時点)のデータで、2025年7月29日に更新された版です。当サイトが2026年8月15日に取得して集計しました。調査時点からおよそ2年が経っています。 デジタル庁も「今後の精査等により修正することがあります」と注記しているため、実際の手続き前に各自治体・各機関の最新情報を必ずご確認ください。
まとめ
- デジタル庁の調査で「結婚・離婚」に分類される国の手続きは517件、うち国民が自分で申請するものは292件
- そのうちオンライン化が未実施なのは171件(58.6%)
- ただし同じ条件で絞った全手続(4,556件)でも実施済は34.3%で、結婚関連の31.2%とほぼ同水準。結婚関連が特別に遅れているわけではない
- 「実施済」でもオンラインで出せるとは限らない。 婚姻届は調査時点で年間491,035件すべてが窓口・郵送だった
- 離婚届・入籍届・婚氏続称の届出も、オンライン利用は0件
- 一方、健康保険の被扶養者届は約52%がオンラインで処理されている
- 手数料ありは91件、なしは196件。婚姻届自体に手数料はかからない
- 銀行・クレジットカード・携帯電話などの民間手続きは、このデータに含まれない
この記事の数値は令和6年度調査(令和6年3月31日時点)のもので、調査からおよそ2年が経っています。 デジタル庁も「今後の精査等により修正することがあります」と注記しています。制度は変わりますので、手続きの前に各機関の最新情報を必ずご確認ください。
